期限付きの恋

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期限付きの恋

 その日以降。  彼は以前に増して、足繁く私の部屋に通ってくるようになった。   【シモベ】→【使い魔】→【お手付き】  我ながらスゴいレベルアップだ。  それはそれでいいのだが…  お子様四葉には、一つ困ったコトがあった。  お屋敷内での彼は全くのおトノ様状態で、弥一郎様が居ない今、だれも彼に意見できる者はない。  そんな中、会社と違って彼ったら一切人目を忍ばないもんだから…  オトノサマの “女中部屋通い” は、屋敷内の皆様の、知れ渡るところとなっているのだ。 「で?どうなのよ、実際」  だから、使用人仲間にあけすけなコトを訊かれても、真っ赤になって俯くだけ。  慣れない冷やかしやオノレ立ち位置に、どう答えたらいいものか、対処方法が分からない。  スピーカー、オオガミさんが産休で本当に良かった……   女中長のアサダさんも 『わきまえなさい』 と渋い顔はするものの、トノの手前、強くは言わない。  カチョーの妹、レイカ様にいたっては、兄 “ロリコン” 説に確信を持ち、からかっては逃げる、逃げてはからかうのヒット&ウェイを楽しんでいる。
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