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3人の中の1人、銀座のキャバ嬢リオちゃんは、以前(※)私を助けてくれた女(ヒト)。
一度きりしか会ってないが、口は悪くても優しくて、キップのいい女の子だった。
ふと、以前彼女が私に言ったことを思い出す。
『トラちゃんにさ~あ?迷惑かけちゃダメだよ』
その時の彼女の、少し切なげな表情が脳裏に浮かんだ。
彼に別れを告げられた瞬間、彼女はどんな風に振る舞ったのだろう___
いつしか私は悄気返って、知らずのうちに呟いていた。
「…女の人が、そんなに簡単に割りきれるものでしょうか……」
「何だと?」
それを聞き咎めた彼が、くっと眉間に皺を寄せた。
あ、マズイ。
思った時は遅かった。
彼の顔色がみるみる剣呑に変わってゆく。
彼は、真っ直ぐに私の視線を捉えて睨み付けた。
「すると何か、お前は俺に他の女のところに行って欲しいのか」
「や…やだなぁ、そういうワケじゃ…
あのその、ゴメンなっさー…」
冗談めかして謝るも、
「赦さない」
「ふぎゃっ…」
彼は、低い声でそう告げた後、息が止まるほど強く私を掻き抱いた。
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