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(秘書の後藤田。父の右腕だ)
課長が私に耳打ちした。
道中後藤田秘書は、彼に簡単に総帥の病状を説明した。
倒れたのは一昨日の夜。
仕事の打ち合わせの最中で、医師の診断によると脳卒中の発作だそう。
一命は取り留めたものの、予後は悪く、どうなるか分からない状況らしい。
自分のボスの緊急事態にしては、いやに淡々と話す彼に、私は何となく違和感を覚えたが…
彼は無意識に爪を噛みながら、黙ってそれを聞いていた。
近郊で1番大きな病院の、
1番大きな病室に、
大勢の部下に取り囲まれてその人はいた。
だが、つぎの瞬間_____
藤城課長が一歩病室に入ると、
「「「貴彪様!」」」
ベッドを囲っていた側近達が、一斉に彼を取り巻いた。
そこで目の当たりにしたのは、
あからさまな “世代交代” 。
ああ、彼はもう本物の『藤城 総帥』になるんだ___
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