4705人が本棚に入れています
本棚に追加
と_____
「寂しいものでしょ、このヒト。
力を無くした途端にね、一人ぼっちになっちゃった…」
今まで隅のソファに座ったままで、彫像のように押し黙っていた女性(ヒト)が、力なく私に微笑んだ。
「す、スミマセンっ」
見咎められたと思った私は、慌ててベッドから離れたが、
「あら、いいのよ」
そう言って気さくに笑いかけ、私をソファに誘った。
「…そうですか、やっぱりレイカさんの」
彼女はやはりレイカ嬢のお母さん(サヨリさんという)だった。
看病疲れなのだろうか、今は少し窶れているが、彫りの深い、明るい顔立ちは相当の美人で、開けっぴろげな性格はレイカさんとよく似ている。
私達はすぐに打ち解けた。
「ええ、そう。
貴女、あの子のこと知ってるの?」
「はい。あの、私……」
私は大まかに成り行きを説明した。
「そう、あのお屋敷に住み込みで…
フフッ、なら大変ね」
「はい、その通りですっ!」
きっぱりと答えた私に、サヨリさんは苦笑した。
「それで…貴彪さんと?」
「え…ええ、まあ……」
ふっと顔を綻ばせる彼女に、今度はモゴモゴと口ごもる。
最初のコメントを投稿しよう!