チチキトク

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 ディナーには、広いテーブルにいくつものお皿が並べられ、新鮮なフルーツや野菜が溢れんばかりに盛られている。  私1人に3人も給仕が控えていて、次々にエスニック料理が運ばれてくる。  彼が来ない寂しさと心細さで、最初は遠慮がちに手をつけていた私だったが…  今の彼が大変なのはよく分かる。  連絡すら、取れない状態なのだろう。  これはきっと、そんな彼が私のために用意してくれた趣向。  そうと割りきった私は、途中で気分を切り替えて、状況を目一杯楽しむことに決めた。    食事を終えて、通されたのはこれまたアラビアン・ナイトの王室みたいなスウィート・ルーム。  私はキラキラと目を輝かせ、広い部屋を隅から隅まで探検した。  広々とした贅沢な間取りにラグジュアリーなインテリア。  大理石のバスルームには、金と白磁のバスタブが。    そして___  おおっ!    クロゼットにシルクの民族衣装を見つけると、私はそれを身に付けて、全身鏡にベリーダンスのポーズをキメる。  
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