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それから丸2日間。
ホテルの部屋に置かれた荷物が解かれることはなく、藤城課長は一向に戻ってこなかった。
ホテル側は、通訳兼ガイドさんまで付けてくれていたが、サスガに観光する気にはなれない。
代わりに私は、毎日弥一郎様の病室に通っていた。
その間、弥一郎様が目覚めることはなく、私は付き添いのサヨリさんと一日中話をして過ごしていた。
銀座でホステスをやっていたという彼女は、とても話上手で、ちょっと立ち入ったヘビーな内容でも、あっけらかんと話してくれる。
それは、藤城家のことをあまり知らない私にとって、とても重要なことだった。
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レイカはね、私の連れ子なのよ。彼とは血が繋がってない。
やっだ、解るでしょ?私と彼、年が30も離れているんだもの、身体の関係はもうないの。
アノ子が小学校6年生の時、弥一郎とはお店で知り合ったの。
……母娘家庭だったのよ。
最初はモチロンおサイフ目当て。
アノ子を育てる為に、気に入られようと必死だった。
でもねぇ、そのうち段々本気になっちゃって。
“財産目当てなんだろう” って周りの人間から散々、本人にさえ言われたわ。
全く、ここの人達ったら、ろくなものじゃないわ。
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