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『四葉のクセに。
俺に “待った” をかけるなんて、いい度胸してるじゃねえか。
ホテルに戻ったら覚えとけよ』
『ひぃっ…』
病院からの帰り道、彼に散々脅された私は、戦々恐々としていたのだが……
ホテルに着くなり彼はパタリとベッドに横になると、そのまま死んだように眠ってしまった。
よっぽど疲れてたんだな。
やっぱり…悪いことしちゃったかな。
でもその寝顔は、重圧から解放されたように安らかだ。
だからきっと、
これで良かったんですよね…
私は一人で納得すると、起こさないように彼の隣に入り込んだ。
そぉっと身体を寄り添わせると、彼もまた、無意識に私にピトッとくっ付いてきたから…
思わず顔が綻んだ。
ちょっとだけイタズラ。
スースーと寝息をたてている唇に、ぷちっと軽くキスをする。
すると彼は、
「う…ん」
くすぐったそうに眉をしかめた。
ああ、何て愛しいヒトだろう。
いっそこのまま帰りたくない。
帰ったらきっと、今よりさらに沢山の色んな問題が待っているから。
何処かに、
今のシアワセに留まっていられる魔法はないものだろうか……
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