プロローグ

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「えええええっ、に、ニセンマンエン?! そんなの、絶対に無理ですっ」  「ムリじゃ困るのよ、ネエチャン」  チャラついたロン毛の男は、ペラリと1枚の紙をちらつかせた。 「ホラ、ココ。『連帯保証人』って欄にアンタの名前が書いてあるぜ? 『四葉美咲(ヨツバ ミサキ)』ってよぉ」 「うう…な、ナゼに」 「んなこたあ契約したアンタの父親に聞きな。  もっとも夜逃げしちまった後だから、連絡も取れねえだろうがよ」  もう一人、後ろに控えていたスキンヘッドの男がヒャハハと甲高い笑い声をあげた。 「家財道具は差し押さえたし…  後は退職金だが…勤続6ヶ月じゃあ取れねえか。失業手当、あたるかな」 「退職ぅっ!?  ワタシ、退職するの……」 「ったりめえだろ?  2000万だぜ、2000万。  堅気のジョウちゃんが、マトモに返せる額じゃねえ」 「うう…  まさかウワサの『フロに沈める』というやつ?」 「察しがいいな」  ロン毛が胸ポケットから煙草を取り出すと、スキンヘッドがサッと火を着けた。 「ま、安心しな。イイ店紹介してやるからよお」  ブワッ。  これ見よがしに、目の前で吐き出された白い煙が目に染みた。 「ゲホゲホッ… そんなのイヤですっ、ねえ、許して下さいよ~~。  私まだ、男のヒトと付き合ったコトも無いんです~。チューだってまだで…」
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