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が。
ちょっと待て。
私には一つ、思いっきりひっかかっているところがある。
「そ、それってつまり 『アイジン』?
囲われモノってやつじゃないですか!」
四葉=アイジン。
ピンとこない!!
「何でオマエ、もうちょっとましな言い方ができないんだ……
『パートナー』でいいじゃないか」
「うう~~」
なおも唸っていると、彼はやるせなさそうに眉を曇らせた。
「京極のジジイ、瑠璃子の祖父だが…
ヤツは日本財界の黒幕(フィクサー)だ。
親どおしの約束とはいえ、破談にすることは出来ない。
裏切るつもりかと、それこそヤツは全力で藤城を潰しにかかるだろう。
………
お前を正式に妻にしてやれないのは、悪いと思ってる」
一つ一つ、言葉を選びながら話す彼を、私は慎重に見守った。
「だが。
これは、ビジネスのための政略結婚だ。
互いに本当の夫婦生活なんかする気もない!
だから四葉、いや美咲。
そっちが事実上の『家庭』だと思ってくれたらいい。
普通の家と変わらない。
浮気はしない、お前もするな。
子供も作ろう。
仕事を続けてくれたっていい。
だから……受けてくれないか」
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