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「あの……少し考えさせて…」
答えを濁した私に、彼はたまらなく悲しそうな表情を見せた。
「こんなことを……言える立場じゃないってことは分かってるつもりだ。
だが、『愛してる』が分かった今、家のための結婚なんか……」
ふいをついて、情熱的な熱い瞳が私を捉えた。
「俺はもう、たまらない。
以前美咲は、俺をずっと好きでいるって、
言ってくれただろう?
俺も同じだ、ずっとお前を____」
「カチョ…タカトラ…さん」
それは、実質的な『プロポーズ』だった。
嬉しい。すごく嬉しいハズのに…
私にはどこか釈然としない気持ちがある。
世間に認められない、良くないことだって分かってるから。
だけど、でも。
『仕方がないよね、好きなんだもの』
ふと、レイカさんのお母さんが言ったあの言葉を思い出した。
そうだ私は…
ついこの間、
例えこの先何があっても、この “アイ” を貫くのだと、異国の夜空に誓ったばかりじゃなかったか。
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