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しばらく迷った後。
私がコクンと頷くと、彼の顔にホッと安堵の色が浮かんだ。
「うっ…嬉しい!」
彼の首に手を回して、しっかりと抱きつくと、彼は会心の笑みを浮かべて、私をギュウッと抱き締め返した。
それから…
「タカトラさ…ん」
「良かった美咲」
親指に顎を掬われて、彼の唇に柔らかく包まれると、次第に頭の芯が麻痺していった。
もう幾度となく交わしてきた甘いキス。
最初は優しく、つつき合うようなそれは、次第に強く激しいものに変わってゆく。
より深い接合を求め、何度も角度を変えたあと、ようやく唇が離されると、ツゥッと銀糸が二人の間を繋ぐ。
「これからも、ずっと…一緒だな」
「ん」
甘い言葉を囁かれ、胸の底の罪悪感も、すっきりしないモヤモヤも全てが愉楽の中に溶かされていった。
うんそう、そうだよ。
だって、私にとって一番大事なのは彼だもの。
だから私は…
これでいいんだ。
その夜、私達は空が明るくなるまで抱きあった。
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