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お婆ちゃんは、別にイジワルを言ってる訳じゃなかった。
半世紀以上も藤城に囚われ、過ごし、見つめ続けた結果を私に忠告しているんだ。
私の愛は、
彼の愛は、浅はかなのだと。
すっかり消沈した私は、肩を震わせて泣いていた。
お婆ちゃんは黙ったまま、瞬きすらせず真っ直ぐ私を見据えている。
私は、泣きながら尋ねた。
「お婆ちゃん。
それ……どうしても私のとこじゃないと……ダメかなあ……
…次に……回すワケには……」
「オマエが、もし_____」
ハッとして、お婆ちゃんが何かいいかけた時だった。
「待たせたな」
通話を終えた彼が上機嫌で戻ってきた。
私は慌てて涙を拭くと、笑顔を繕った。
お婆ちゃんも、もう目の焦点はさだまっておらず、彼が何をいっても、ただニコニコと笑っていた_____
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