チチカエル

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 私、まだ借金があるんだよね。  1500万円中300万円くらいしか、返せてないもの。  それを返し終わるまで、シモベ四葉としてならば、まだ傍にいたって、いいんじゃないかなあ……  それにさ?  お婆ちゃんはああ言ってたけど、彼の気持ちはずーっと変わらない可能性だってあるわけで。  私は彼に囲われて、アカチャンもできてシアワセな一生を送ることが…    出来るか?  本当に? 「あ~~、ダメだああっ」 「何がダメだって?」  コタツに潜り、頭を抱えていたその夜。  いつもは深夜に現れる彼が、イヤに早く私の部屋に現れた。  出掛け先から直行したようで、今朝がたと同じ服装のまま。  相変わらずのノックなしだ。   「あ、イエ…」 「疲れた」  彼はスーツの上着を脱ぎ捨てると、パタリとうつ伏せに寝転んだ。  ハイハイ。マッサージですね。  ツーカーだ。  ギュッ、ギュッ…  肩甲骨の周囲を規則正しく指圧しながら、滑らかに隆起した筋肉の筋を目で追った。
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