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傘(エモノ)を放り投げ、オレンジ色の街頭の周りを追いかけ回すこと数分。
漸く私は、彼の首根っこを捉えた。
全く。
我が親ながら、逃げ足だけは速いんだから。
「ハァ、ハァ…
待てって言ったでしょうが。
アンタのお陰で、私がどんな目に遭ったと思ってるの!」
「い、イヤァ、美咲ちゃんなら何とかなるんじゃないかなって…ハハッ」
「バッカヤロ~~~!
なるわけないだろがっ」
ポカポカと頭を叩く両手を腕で庇いながら、彼は切々と訴えた。
「イタタっ、美咲ちゃん、落ち着いて。
お父ちゃんの話を聞いて…」
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今、私と父は駅の近くの公園のベンチに並んで座っている。
時刻は既に、深夜0時を回っていた。
「で?
2000万円もの借金を負い、更にそれを私に押し付け、音信不通になった理由は?」
また逃げ出さないように、しっかり右手を握り締めて、私は尋問を開始した。
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