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私はガックリと肩を落とした。
何から何まで、このオヤジはぁっ!
だが、そんな私の落胆に反し、父はガハハと呑気に笑った。
「しっかし、さすがは美咲。よく取り立てから逃げられたよなあ。
いやさ、アイツら。
生命保険かけろだの、内臓売れだとかシツコイのなんの。父ちゃんも逃げに逃げてよ……
って、お前まさか…
『身売り』したんじゃねえだろうな?
そういやあ、やたら色っぽくなったような…
オイ、美咲ぃ」
ジトッと疑わしそうに睨む横目に、私はプルプルと肩を震わせた。
「いい加減に……しろぉっ!!」
「イテテっ、冗談だってば。
そう怒んなよう…うわたっ」
何度も繰り出される怒りの拳から、必死で頭をガードする父。
その合間に、チラチラと見え隠れする情けない表情に、私は仕方なく拳を下ろすと、
「あのねぇ、父ちゃん……」
これまでの事を、かいつまんで話し始めた。
(もちろん、アノ人との特別な関係は伏せたまま、ね)
すると、初めはキョトンとしていた父は、話が進むにつれて、目を丸くして何度も感嘆の声を上げた。
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