チチカエル

13/17
前へ
/283ページ
次へ
「ひぇええ~~、社長さんの跡取りが上司で……住み込みでメイド…  そりゃあオマエ、良かったなあ」 「良くないよ。  闇金からその人に借金が移っただけなんだからね?  500万円は負けてくれたけど、まだ殆んど残ってるんだから」  しみじみと感想を述べる父に、ぷっくりと頬を膨らませ、唇を尖らせた私。  と。  父が突然、シリアス顔をつくり、ベンチから立ち上がった。 「……ふっふっふ。  美咲や、父ちゃんが何故今日、ここに現れたと思う?」 「な、何よ…」  訝しむ私に、目一杯得意気な顔をした彼は、  ジャジャーン!!!  変な掛け声と共に、腹巻きの間から預金通帳を取り出した。  せわしい手つきで最後のページを開き、私の目の前にそれをずいっと差し出す。 「何よ、これがどうしたって……え?0、0、0……ゼロがが7つ。 い、いちおく円~~~!!!」
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4706人が本棚に入れています
本棚に追加