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「な、な?スゲエだろ?
さっき話したダチがよ、せめてもの詫びにって1枚くれた『年末ジャンボ』が当たったのよっ。
あー、やっぱり神様は見てたんだあ……
なあ美咲っ、その借金もこれで返せるぞ!」
「う、ウソっ?!」
「ウソじゃねえっ!
“返せ” って言われたら嫌だから、直ぐに銀行行ってきたんだぁ、ハッハー!」
興奮する父と私は、大喜びでハイタッチ。手に手を取って、ウフフアハハとクルクル回る。
信じられない、夢にまで見た自由の身……
ん、まてよ?
ってことは…
借金が…返せてしまう。
彼と私を繋いでいた唯一の鎖、免罪符はもう使えなくなる。
シュルシュルと、急に減速していった私を、父は不思議そうに見下ろした。
「 ? どうした、美咲」
「………う、ううんっ、何でもない。
それよりお父ちゃん」
私は、ちょっぴり懐かしい、がっしりした胸にぎゅっとすがりついた。
「お父ちゃん…
もう、黙って居なくなったりしないでね?」
「ああ、分かってる。ゴメンな美咲…
ゴメン…なぁ」
父は瞳を潤ませて、何度も何度も謝りながら、とうとう泣き出した私の頭を、昔と同じにグシャグシャに撫で回した。
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