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2月に入ると、彼はますます忙しくなった。
結婚式と、グループ総師への就任式を控えているのだから無理もない。
それでも私のところへは、週に1度か2度、時間を見つけては顔を出し、たまに一緒に眠れる日には、いつまでも私を抱き締めて、嬉しそうに未来を語った。
ハア……
近頃、溜め息しか出てこない。
屋敷では、着々と新夫人を迎える用意が進んでいる。
そんな中、私の立場はすごく微妙になっていた。
前は仲良くしてくれた使用人のみんなも、今では私を見かけると、少し辛そうに目をそらす。
まるで、ハレモノ扱いだ。
特に、私とは馴染みのない、後から来た彼の取り巻き達はひどかった。
彼等はあからさまに私の存在を否定して、タカトラさんの居ない時に限って、陰口や嫌がらせをしてきた。
そんな時は、決まってレイカさんや将馬様が庇ってくれるのだったが……
「ちょっと、アンタ達。
いい加減にしなさいよっ」(レイカ)
「クラァ、貴様ら…
俺に隠れて、何をコソコソやっている(怒)」
(兄さんのマネ。上手いだろ! by将馬)
お婆ちゃんの話を聞いていた私は、すでに自分が争いの火種になりつつあるというコトを、イヤというほど思い知らされた。
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