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「……ねえ、オオガミさん。
もし、あなたの御主人に別に家族があって、子供までいたら……やっぱり許せないもんですかね」
それを聞いたオオガミさんの顔色が、サァーッと青ざめた。
「や、止めてくださいよ。いくら四葉チャンでも……
旦那サマもあげませんよ?
大体、うちの場合はそれ、ありえなくもないんですから(ブツブツ)」
「やっぱり、そうですよねえ」
ハア…私は再び溜め息をついた。
「ねえ、何かあったんですか?
変ですよ、さっきから…」
オオガミさんは、私の様子がおかしいことと屋敷の奇妙な雰囲気をようやく感じ取ったらしかった。
さっきから、私達の方を見てヒソヒソ話をしている輩に向かってイッと顔をしかめた後、心配そうに私を振り返った。
だが私は____
「………」
最高潮に幸せそうな彼女と、あまりにやるせない自分の今の境遇を、ついつい比較してしまい、すっかり妬む気持ちに捕らわれしまっていた。
上手く言葉を返せずに、黙りこくって下を向く。
数分の沈黙の後、向き合って首を傾げていたオオガミさんは、項垂れた私の肩をポンと叩いた。
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