ドS王子の結婚式

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「よ…かったぁ。いいですか、必ずですよ?絶対の約束ですからね? 忘れちゃダメですよ!?」  しつこく念押しする私に苦笑しながらも、彼は確約してくれた。 「ああ、分かった、分かった。必ず、な。  美咲。そのかわり明日は覚えとけ?  新婚初夜だ。  腰が立たなくなるまで可愛がってやるからな」 「うげっ…そこはまあ穏便に…」  私は毛布の下で、彼の左手を見つけると、遠慮がちに指を絡めた。  長くて細い綺麗な指、大きくって暖かい掌。  私の大好きな彼の一部。  それに気づいた彼は、しっかりと力強く、私の手を握り返した。 「美咲、お前……」 「は…い?」  ふと、何かいいかけた彼は、キョトンとした私を見て、それを止めたようだった。 「いや、いい。  おやすみ、美咲」 「おやすみなさい…タカトラさん」    それは優しい、  とても優しい夜だった_____
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