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課長のホンキとシモベの覚悟
「今朝は車で行く。お前、運転手やれ」
「エエッ?」
とある朝。
朝食を準備していると、珍しくシャッキリ起き出してきた藤城課長が唐突に言い出した。
相変わらずの無茶振りだ。
彼は今、実質1人でこのお屋敷に住んでいて、たまに帰るという妹さんにも、まだ会ったことがない。
私はこれまで彼のお世話だけをしているわけだが、ワガママなうえに人使いが荒いから、大人一人でも死ぬほど大変だ。
「む、無理ですよ!
カチョーのおベンツの運転だなんて。ぶつけちゃったらどーするんですかっ」
断固拒否する私に、彼はニッコリ微笑んだ。
「当然、ぶつけたら給料から差っ引くに決まってる。
ところでオマエに拒否権は?」
「……ハイ。ございません」
「よ~し、いい子だ。
いいじゃないか、お前も交通費浮くんだし」
それ以上の出費になりかねないじゃないか!
コーヒーとパン、サラダの簡単な朝食を出しながら、私は改めて決意を固めた。
一刻も早く借金を返す!!
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