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丸の内で一旦車を降りた藤城課長は、2人の男をつれてすぐに戻ってきた。
1人はシルバーグレーの髪のちょっと素敵な背の高い紳士、もう1人は……バーコードかつメタボリック。
そして何と、後部座席の扉を自分から開けると、自分は助手席に座った。
さっきとは打ってかわって、二人に愛想をふりまきながら世間話をし始める課長…
そのカメレオン並みの変わり身の早さに、私は呆れ果てた。
人間、こうはなりたくない。
藤城課長があらかじめセットしたナビに従い、たどり着いたのは赤坂の大きな料亭。
”どうせ私はクルマで待機”
と思っていると、
“センセエ” と呼ばれているナイスミドルが、『お嬢さんも、是非に』と微笑んだ。
やったあ!
ニヤニヤしながら振り向くと、課長はあからさまに嫌そうな顔をしている。
が、小さく舌打ちした後に渋々『…来い』と呟いた。
ふふーんだ。ザマミロ、ドケチ悪魔め。
やっぱりね、ホンモノの紳士はこうでなくっちゃあ。
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