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その窮地を救ってくれたのは、またもや課長ではなかった。
「センセエ、ズル~い~。リオも誘ってよぉ」
見送りに出ていた女の子の列の中から、甘えた声の“リオちゃん” が飛び出してきて、彼の片腕に組み付いたのだ。
エセ紳士は、イヤらしく微笑んだ。
「仕方がないなあ、リオもおいで?」
女の子2人に腕組みされて去っていく彼を、私達はやっとのことで見送った。
と、バーコードが小走りに引き返してきて、憔悴した顔の課長に向けて、苛々と告げた。
「次も藤城に付けるよ、かまわないね?」
「あ、ええ、勿論です」
疲れきった声で課長が答えると、彼はホッとしたように笑い、それからまた急いで引き返して行った。
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