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ローテーションで逢う順番が決まっているので(スーツの移り香で分かっちゃうのだ)、お妾さん1号、2号、3号と呼んでいる。
ちなみに、2号さんは私を助けてくれた、キャバ嬢のリオちゃん。
“お妾さん” と呼ぶのは、さらに彼には許嫁までいるからだ。
“いいんですか?” と尋ねたら、
「親の決めた相手だ…向こうも同じように遊んでるから、お互い様だよ」
だそう。
爛(ただ)れた世界もあるもんだ。
その彼だが…
今夜はデートだったはずなのに、11時に帰宅すると、何と食事の準備を求めてきた。
私は無論、抗議した。
「あのね。食事は普通、一緒にして帰るものでしょう」
「外の食事は口に合わない」
……左様ですか。
私の仕事が増えるじゃないか!
しかし、哀しいかな。
彼がフーッと疲れた息を吐き、ネクタイを緩めて椅子に座ると、私は反射的に支度を始めてしまう…
くっそー、何というワガママ男だ!
まあ、アンザイさん(コックさん)のゴハンは美味しいからなぁ。
食事中、私はいつも彼の斜向かいに座っている。
「使用人が同席するなどもってのほか!」
なーんて、女中長のアサダさんが見つけたら怒るだろうが、御主人様の言い付けなんだから仕方ない。
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