禁じられたオフィスラブ

4/7
前へ
/283ページ
次へ
 そんなイジワル課長との生活にもすっかり慣れたある日。  この頃になると、不思議と “気が利く” と認められるようになり、仕事も徐々にやりがいのある内容を与えられるようになってきた。  そうして何とこの度は、アコガレの香河サンのプロジェクトにも加えて貰えたのだ!  私は俄然ハリキッた。 「香河サン。例の資料の叩き台、見てもらえますか?」 「ああ早いね…どれどれ」  私はデスクの傍らで、ドキドキしながら眉根にシワをよせる彼の返事を待つ。  しばらく後。 「スッゲエ…完璧だ」  彼は会心の笑みを浮かべた。 「やるじゃないか、四葉ちゃん。これなら課長の決裁、一発で取れるぞ」  思わず2人でハイタッチ。  弾んだ足取りで課長デスクに向かう彼の背中に、私はチラッと舌を出した。    実は……カラクリがある。  さっきのおとといの夜からご機嫌を取りまくって、藤城課長ご本人から直接レクチャーを頂いたのだ。  お陰でかなりヘトヘトだったが。  と、ニコニコしながら戻ってきた香河サンが、 信じられない事を言い出した。 「…じゃあね、四葉ちゃんにささやかな御褒美。 今日の昼飯、俺の奢りな」 「ええっ!ホントに?」 「もちろん。行きたいとこあったら言って。 それとも……迷惑かな?」 「とと、トンでもございません、ゼヒとも」  その午前中は、フワフワと気分が浮きまくって、全く仕事にならなかった。
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4704人が本棚に入れています
本棚に追加