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その夜___
遅くに帰宅した彼の様子を見、機嫌が良いのを確認すると、早速打診を試みた。
「…というわけで~」
私は、恐る恐る顔を上げる。
「へぇ…香河がねぇ」
彼の視線が一瞬、彷徨(うろつ)いた。
「よ、良かったじゃないか。
ヤツがお子様嗜好で……イヤァ、珍しい男もいるもんだ」
「じ、じゃあ?」
オッケーですか!?
イャッフウ~~!!
私の気分は最高潮に達した。
お許しが出るのであれば、その程度の毒舌など痛くもカユくもない。
だが、次の瞬間に浴びせられたのは、冷水のような一言だった。
「しかし……やっぱダメだな」
「エエエ…」
ジェットコースター並みの速さで、一気に谷底に突き落とされる。
「考えても見ろ。オマエに優雅に恋人とデートできる自由時間なんて、どれだけあるんだ?」
「えっと……」
指を折って数えてみた。
……ない。
「で、でもっ!昼休憩とかもあるし!」
彼は、チッと舌打ちすると、わざとらしく人差し指を顔の前で振って見せた。
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