課長の背中に

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課長の背中に

『やっぱりダメでした…』 『そっかぁ…それじゃ仕方無いね。また良くなったら言って。  たまには昼飯でも行こ』  香河センパイは、眉をハの字にしながらも、気まずくもせずにサラッと流してくれた。  何ていい男(ヒト)なんだろう。どこかの魔王とはエラい違いだ。  その言葉を聞き、私は更に本気になった。  夕べの試算をさらに見直し、月額4万円の生活費を、更に3万5000円までに切り詰める事にした。  そうすれば4年5ヶ月の返済期間が6ヶ月も短くなる。  そのために、まずは晩御飯の賄いを半分残し、昼のお弁当にする。  バスを使っていたのを、一駅早く降りての徒歩に切り替える。  お洋服は勿論、下着だって4年は買わない!  とにかく一刻も早く、藤城貴彪の支配から逃れなければ……  キッと課長席を見据えると、私は拳を握りしめた。  私の青春は終わってしまう!  
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