課長の背中に

3/15
前へ
/283ページ
次へ
 何のことはない。  オオガミさんの後任のサトウさんが、えらく儚い人だったのだ。  『す、すみませんっ。体が弱くって…ゴホッ』  ただでさえ仕事に慣れない上、何かある度に咳き込む彼女にとても無理はさせられない。  このことで、女中長アサダさんのヒステリーも倍増し、結果、私の仕事量が1.5倍に増えた。  その2。  こちらは会社の方。  この間提出した資料の評判がことのほか良く、私の仕事内容が更にステップアップした。  でもコレは、私としては是非とも頑張りたいトコロ。  しかし残業出来ない上に、ペース配分も下手くそな新人の私は、どうしても仕事を持ち帰ることになったから、睡眠時間が削られた。  その3。  こちらはまた藤城の家で、これがもう致命傷だった。  なんと当家のワガママ令嬢、レイカ様がお戻りになってしまったのだ!  その日、いつも通りに課長の前に帰宅した私は、ヒトの気配に慄然とした。
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4704人が本棚に入れています
本棚に追加