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「おいコラ四葉、なにを騒いで
……おや珍しい」
課長の声が、急に冷たく変わった。
レイカ様もまた、私の手を離して表情を固く強ばらせる。
「何だ。やっと帰ってきたのか…
そろそろ振られる頃だろうとは思っていたが。今回は割りと長かったみたいだな」
「ち、違うわ。資格のベンキョーするために帰ってきたのよっ。
大体アイツはね、私から棄ててやったのよっ」
「オマエが何処にいようが、知ったこっちゃないが。 暫くは大人しくしててくれよ。
あまり素行が悪いようだと、好きにはさせておけないからな。
父の留守の間、管理を任されてるんでね」
「ふん、何よ。人まで雇ってわたしの跡をつけさせて…相変わらず、兄さんは父親の言いなりね。
ヘドがでるわ」
冷淡な応酬は、久しぶりに会った兄妹のものとは思えない。
ハラハラと成り行きを見守っていた私の肩に、藤城課長の手がトンと置かれた。
「フン、まあいい。行くぞ四葉、食事の支度だ」
「え?あ、あの…」
「ちょっと待ちなさいよ、
私の部屋の掃除が先でしょ?」
彼女の声を、藤城課長はピシャリと遮った。
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