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自分のニオイを嗅ぎ終わると、私はさっきから気になっていたことを尋ねた。
「あの~、ひょっとして、カチョーが私を?」
“ああ”
彼は小さく頷いた。
じ、じゃあ、あのキモチヨイ背中は夢の中の王子様なんかじゃなく…
藤城……課長!?
私は急に恥ずかしくなって、掛け布団を顔まで上げた。
「す、スイマセンでしたっ」
彼は気にする風もなく、軽く首を横に振った。
「俺はいい。犬どもに礼を言っとけ」
「は、はい!」
「冗談だ」
突然、藤城課長は怖い顔で私を睨み上げた。
「四葉ぁ、オマエ。
自分のコト、ちゃんと気がついてたか?
いくらおまえ、体力に自信があっても、食事や睡眠を削るなんてバカなことだ。
体調管理は大人として、当然すべきこと。
今回なんて、下手をすれば死んでたとこだ」
「……ふぁい…」
しゅんと俯く。
「こっちだってな、何も体調が悪いときまで、あれこれやらせるつもりはないんだ」
だって…早く借金を返さないといけないし…
傘だって届けに行かないと…
でも結局、私のせいでメイワクをかけてしまった。課長は何でもお見通しなのだ。
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