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「で?
半人前にもならないヒヨコ以下のタマゴが、ナマイキにも退職なんて言い出した理由はなんだ」
うぐっ、いきなりキツイ。
無駄のキライな藤城課長は、単刀直入に本題に入ってきた。
しかも…
ああ、これが苦手なんだよね。
彼が私を見るときの鋭い眼つき。まるでゴミでも見るのような冷たい視線には、一遍の情さえ感じられない。
只でさえ説明しにくい理由を抱えている私は、それだけでカッチンコッチンに固まってしまった。
喉はカラカラ、ヒリついて上手く喋れそうにもない。
黙りこくっている私に、とうとう彼がシビレを切らした。
「オイ、何とか言ったらどうなんだ。
俺が貴重な時間を割いてやってるって言うのに。無駄な時間は……お、おい?」
イヤだ、コワイ!
とにかくノドに潤いを!!
追い詰められた私は、コップにナミナミと注がれた水を、一気にグイッと飲み干した。
「お、おい、大丈夫か四葉、ソレは酒……」
あれ?
何だか藤城課長が慌てている。
「うぃ~~」
ずいっと腕で口を拭うと、途端に景色がヘニャヘニャに歪み、グルグル目が回り出す。
「あ、あり……カチョー?」
「お前…」
「う、うっわーーーーーん、カッチョー!!!」
「よ、四葉?」
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