課長の背中に

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 そんな私のドキドキなどまるで気が付かず、彼は2匙目からも同じ動作を繰り返す。  私はもう、気が気じゃなかった。  キリッ引き締まった意思の強そうな、あの艶やかな口元で。  フーッと細い息をかけた銀の匙を、しなやかな手が私のおクチに運んで…  やだっ、私ってば…  走り始めた妄想に、急激に動悸は強く打ち始めた。  顔が熱く火照りだす。  ダメダメっ、コレは悪魔の色香。  意識しちゃ、ダメーーっ!!  リアルな男免疫ゼロの私に、この刺激は強すぎた。  も、ダメ。  5匙目、私はついにノック・ダウンし、パタリとベッドに仰向けた。 「お、おい、大丈夫かっ!?」  心配そうな彼の声に、私は顔を腕で隠したまま、小さな声で謝罪した。 「……スミマセン。  熱が…上がっちゃったみたいデス…」 『直るまでゆっくり休め』  そう言って彼は、ようやく部屋を出ていった。
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