家政婦がミタ!

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 まずい。  ものすご~く、まずい。  ムダに惚れっぽい私は、これまでの人生、小学校3年生の時を初めとし、直近では香河センパイまで、たくさんの恋をしてきた。  全部言い出せないままに、片想いで終わったけれど。  このソワソワ感は…その時と似ている。 ってか、ほぼ同じだ。  ってことはつまり、私はカチョーに…  イヤイヤ違う、そんな事なーい!  あんなドS悪魔のヒトデナシに、私が……なんてするわけないじゃないか!  これはアレだ。悪魔の呪術、マインドコントロールというやつに違いない。  私はフルフルと頭を振ると、頭に浮かんだ不吉な2文字を懸命に否定し、頭を切り替えるべく湯殿を眺めた。   古代ローマの浴場を模した広い湯船に乳白色の香湯は、3人しか使わないのが勿体ないようなゼイタク品___  残り湯だろうと構わない。  今だけ私、クレオパトラにでもなったみたい。  バラの花びらでも散らしてみたい。
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