家政婦がミタ!

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 グルグルと目が回り出す。  まさかそんな…私、カチョーに全部見られて…    と。 「運んだのはボクだよ。途中までだけどね」  後ろに控えていたもう1人のカチョーが、突然口を開いた。  うえっ、マボロシがしゃべった!  よく見ると、さっきのダビデ像はこっちだ。  腰にタオルを巻き付けた姿で、私を見ながらクスクスと笑っている。  対する本物のカチョーは、お風呂の前に見たとおり、暖かそうなナイトガウンを着込んでいて、いつもどおりの仏頂面。  マボロシ君はニコニコしながら喋り出す。   「君、お湯の中で倒れちゃってさ。 溺れると思ったから、僕が引き上げて助けてあげてたんだよね。エライでしょ?  お姫様抱っこで、お風呂の入り口まで運んで…  途中から、駆け下りてきた兄さんに奪われちゃったけどねー」 「お前は黙ってろっ」  藤城課長が後ろに向かって怒鳴っている。  私は、頭を懸命に回して考えた。  兄さん?ってことは、マボロシではなく…  えーっと、えーっと確か___ 「ショウマ…様?」  ようやくその名前を思い出すと、彼は嬉しそうに微笑んだ。 「へぇ、僕の事、知ってくれてるんだ」  やっぱりそうか、藤城課長の弟のショウマ様。  確か2年前に家族間のゴタゴタで家を出たって聞いてたけれど……  帰ってきたってことなのかな?  とりあえずは一つ解決した。  だがもう一つ、私にとって重大な問題がある。  運んだってコトはつまり。  ハダカ(男)×ハダカ(私)×カチョー(男)  …………。 「あの~…見ちゃいましたよね、やっぱり」  私は2人を交互に見た。  ショウマ様は、ニコリと笑う。 「そりゃもう。トップからアンダーまでしっかりと……モガガっ」
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