母の記憶

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「ああ、大丈夫?えっと君は…」 ショウマ様は、私に右手を差し出した。 「あの、四葉…美咲です…」  躊躇いながらその手を握ると、彼はフワリと微笑んで、私を引き起こしてくれた。 「あ、ありがとうございますっ、ただいまお部屋の支度を…」 「ああいいよ、そんなのは自分で出来る。 僕はどこでも寝れるから」 「え…」  イイの?  私は少なからず驚いた。  嬉しい…ここに来て、初めてマトモな人に出会えた気がする…  しかし、ジーンと胸を熱くしていた私に、彼はへらっと笑って言った。 「そうだ、僕、何なら君の部屋でもいいよ?」 「えっ……ぎゃっ!!」  思わず頬を赤らめた時、食堂からフォークが飛んできた。  それは素晴らしいコントロールで、ショウマ様のすぐ横を霞めて床に転がった。 「ハ…ハハハ…怖い怖い。冗談だよ。 じゃあね、おやすみ美咲チャン」  彼は飄々と去っていった。 「美咲…チャン…」  カチョーと同じお顔で “美咲チャン” だなんて…私は思わずポ~っとしながら、彼の背中を見送った。  
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