母の記憶

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「あれ?じゃあ…レイカ様は?」 「あれは別口。あいつの母親が今、父の介護で付き添ってる。  相続放棄する変わりに、側に置いてくれと言った変わった女だ。  フン、本当かどうか、分かったもんじゃないけどな」 「はー…」 「まあ、それはいい」    彼は話を続けた。 __俺達はまだ、ほんの赤ん坊の頃から、それぞれに父の側近を守役につけて、互いを競わせるように育てられた。    勉強、スポーツ、教養、マナー…ハイハイする早さまで、何かにつけて、そりゃあ厳しく育てられたよ。  優秀な方に家督を譲るのだと、いつだったかはっきり言われた。  仲良くするどころか、将馬とは、生まれた時からずっとライバルだったのさ____  そうか、だからあんなに反目しあうんだ。  少し寂しい気もするが…二人の間柄は、私には想像もつかないくらい根深そうだ。
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