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騒々しい街並みを抜け門をくぐり、ようやく静かな外へと出ることが出来たと思われた…が、二人の目の前には異様な光景が広がっていた。
街道沿いで戦闘を繰り広げるグループがそこかしこに散らばっている。その数は相当なもので、モンスターのポップ(出現)が追いついていなかった。
それだけ多くのプレイヤーが同じ目的を持ち、【クーパの洞窟】を目指しているということが分かる。
「これじゃ折角の新しい武器も試せないな…」
ははは、と、ハヅキは呆れ半分に辺りを見渡す。
フィールド上ではモンスターに触れる、攻撃を受ける、攻撃を与える、などを行うと戦闘状態に移る。
この時、他のプレイヤーの戦闘に参加することは基本的には出来ない。
そのため、このようにモンスターのポップよりもプレイヤーの数が上回ってしまうと、他のプレイヤーが戦闘を行うことが出来なくなってしまうという状態が稀にある。
「ね、ハヅキ…このままいくともしかして…」
「うん…」
二人は嫌な予感を感じつつも、先へと進んだ。
なだらかに続く街道を20分ほど歩き、途中の別れ道で右に進むと、【クーパの洞窟】にたどり着く。この世界に来て初めてのダンジョンになるため、ハヅキは非常に楽しみにしていた。
洞窟ともなると、中は薄暗く静かで、ひんやりとした空気、どことなく緊張感があり、そんな状況下での攻略。考えただけで胸が高ぶる。
そんな思いを馳せていたハヅキであったが、彼の嫌な予感は的中した。洞窟を入ると、既にダンジョン内は他プレイヤーが散開していた。
物静けさ、緊張感などは全く無く、プレイヤー達が繰り広げる戦闘音が鳴り響いている。
「いつもこんなに人多いのかな…」
進めど進めど、他プレイヤーがそこかしこで繰り広げる戦闘を横目に、ユウナが話しかける。だが、ハヅキはキョロキョロと辺りを気にしているようで、ユウナの言葉が耳に入っていなかった。
「…ハヅキ?」
「え、あっ、ごめん」
「洞窟に入る前から周りを気にしてるようだったけど、どうかしたの?」
「うん…。えっと、あそこの岩陰に立っている人、見える?」
ハヅキが小さく指を指す方向に目を向けると、岩陰に1人のプレイヤーが立っているのを確認できた。攻略しにきたようには見えない。どちらかというとプレイヤー達を監視するように、見張っているように見える。
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