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「あの人…なんであんなところに1人で…」
「多分、あの人はギルド【ベルウェザー】の人間じゃないかな」
「【ベルウェザー】って、あの…?」
ユウナはもう一度こっそりと岩陰のプレイヤーを確認した。そのプレイヤーは緑のマントを身に纏っており、その真ん中には馬と斧が交差するエンブレムが施されている。
「うん。僕達が最初に誘われたギルドだね。最初に飛ばされてきたっていう、フェルグランドさん…だっけ?その人が束ねているギルドだよ」
リーネスタルトにはギルド協会という施設があり、そこに申請を出すことによりギルドを立ち上げることが可能である。
ギルドの設立には資金が必要となるが、さほど多くはないため、比較的簡単に設立することができる。
そのため、数えきれないほどのギルドか存在するが、その中でも【ベルウェザー】は現状最大規模のギルド、攻略ギルドとなっている。
ギルド所属人数は最大人数の500人。他にも規模の大きいギルドはいくつかあるが、ただ規模が大きいだけでまとまりがない。
それもそのはず、大きくすればするだけ人をまとめることは難しくなり、動きを統率すること、意見をまとめることは困難を極める。
しかし、そんななかベルウェザーだけは違った。
フェルグランドという人物を筆頭に、攻略の最前線を行き、全てでは無いが情報の開示もしている。
それでいて人数は常に最大人数を保っている。どれだけの力をもってすればそんなことが可能であるのか、全く見当もつかない。
「そんなギルドの人がなんでこんなところに1人で…?」
「分からない…。ここに来るまでにも、あんな感じでプレイヤーの動向を見張っている同じような格好の人間が2、3人いて気になってたんだけど…」
ハヅキは考え込むように腕を組み、顔を少し俯かせながらゆっくりと歩みを進める。
最前線のギルドの人間がなぜこの場にいるのか、不思議でならなかった。クエストをクリアするためならば分かるが、そんな様子でもない。
ここまでに確認できたベルウェザーの人間の様子を見るに、クーパの洞窟を攻略しにきたプレイヤーを監視しているように思える。なぜ監視する必要があるのか、そんなことをしている暇があるのであれば、レベル上げでもしていた方がギルドにとって利益があるのではないか、疑問に思うことはたくさんあるが……。
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