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後ろを振り返ると、すでに扉は閉じてしまっていた。 視界には、普段から表示されているユウナのステータスバーの他に、8人分の名前とステータスバーが小さく端の方に表示されていた。 ハヅキ達を始め、部屋に入ってしまったプレイヤー達はあたふたと戸惑いの様子を見せる。 「【ブラム】さん、本当によかったんですかい?」 「ああん?入れりゃいいんだよ入れりゃな」 ブラムと呼ばれるその三人組のリーダーと思われるローブの男は、ひゃっひゃっひゃと下品な笑い声を高らかに上げ、今か今かとボスの登場を待ち構えていた。 「ハヅキ…私たちもしかして…」 「ボスの部屋に入っちゃったみたい…だね」 「どうしよう…」 「とにかく、まずは状況の確認をしないと…」 ハヅキはすぐに辺りを見回した。画面端に追加されたプレイヤーの表示を見ると、名前表示の横にアイコンのようなマークがある。これはプレイヤーごとの職業を表しているものであり、例えばハヅキの職業、【剣術士】であれば剣のマークが表示されている。 そのアイコンと周りのプレイヤーを見比べながら、急遽無理矢理に決まってしまった10人の編成を確認する。 【騎士】5人 【剣術士】2人 【盗賊】1人 【魔術士】1人 【癒術士】1人 「そんな…いくらなんでもこれは…」 ハヅキは今置かれている状況に驚きを隠せなかった。バランスが悪いにもほどがあった。まず、前衛が8人、後衛が2人。この時点でバランスがとれているとは言えない。さらにプレイヤー達が手にする武器にも難があった。 【騎士】は片手剣、槍、ハンマーのどれかを装備でき、剣かハンマーであれば武器を持たない方の手に大きな盾を装備することができ、まさにタンクとしての役割を果たす職業である。 その騎士である5人とも、全員が片手剣を装備していた。 【剣術士】の者も自分を含め片手剣を装備している。 勝手な行動をした三人のうちの一人【盗賊】の者も短剣を装備し、【癒術士】であるユウナも武器は短剣。 ほとんどの者が近距離同系統の武器を装備していた。 【魔術士】は唯一両手杖を持ち、魔法による遠距離攻撃が可能ではあるが、この魔術士こそ、扉の前で大声を上げていたローブの男【ブラム】である。あれだけ自分勝手な言い振る舞いをしていた者が、協力するはずもない。
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