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という経緯があったために俺はカップケーキを欠片も食ってないのだが、翌日クラス前の廊下で顔を合わせた時にとりあえずお礼だけは述べた。
一年の時はクラスが離れていたそうだ。二年の今は隣のクラス。そして委員会も一緒。
全く知らない人ではないのだし、最低限の愛想くらいは必要だ。
「あー……堀口さん」
話しかけるのはとても気まずかった。どちらかというと罪悪感。何せ俺は食ってない。
「昨日のケーキありがとう」
「えっ、あ……うん」
「なんかかえってごめん」
「全然! お菓子とか作るの好きなの」
「……そうなんだ」
ありがとうの後に美味しかったまで言わなかったのは正解だ。
気まずい心境は極力出さないように、曖昧に感謝を伝えて自分のクラスに逃げるように入った。
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