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ところがその日の放課後。後ろ扉近くの席の奴がそこから俺の名前を叫んだ。
ドアの方を指さしながら、呼んでるよと言われて視線を移せば堀口さんがそこにいる。
廊下に出て用件を聞いた。その日の予定を聞き返された。
これから部活に行く男連中がわざわざ俺のすぐ横を通りながら肩をポンと叩いていくのがウザい。
「ごめん、これからバイトだからちょっと急ぐんだけど」
「バイト? やってるんだ?」
「うん。何か用だった?」
「あ……ううん。なんでも……あ、じゃあ駅まで一緒に行こうよ。私もこれからバイトなの。ホテルのレストランで配膳やってって」
「……そうなんだ」
聞いてもいないのに教えてくれた。
ホテル内の配膳は高校生の人気バイトスポットなのだろうか。晃も同じようなバイトをしている。
しかし特段興味はないので、バイトについて深堀りはせずただ素直に荷物を取ってきた。
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