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蓋を開けてみれば堀口さんは礼儀正しい女の子。
明るくてちゃんとしている。ホテルの配膳バイトも頑張っている。ハキハキしていてフットワークも軽そうだからバイト先でもよく働くのだろう。
とは言え最初に抱いた印象というものはなかなか覆すのが難しい。
あの時のことを一度思い出してしまえば、マイナスイメージで埋め尽くされる。
傘を持っていなかった女子。髪を可愛く巻いていた女子。
当時はそれだけの情報しかなかった。にもかかわらず勝手な不快感を抱いた。その印象は、今さら破棄できない。
なんで美化委員になんてなってしまったのか。
一番楽らしいというのを晃に聞いて、それをジャンケンで勝ち取ったからだ。
ちなみに晃も同じくジャンケンで勝ったため、委員会の隣の席には最初の時も晃が座っていた。
傘を返すタイミングを逃していたとあの子は言った。
俺が晃とずっと喋っていなければもう少し早くに返されていたのかもしれない。
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