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摩子はリュックからあの名刺を取り出して、
太刀川弁護士に渡す。
「荒北摩子です。」
太刀川弁護士はその名刺を見ながら、
「おい守屋~!」
と守屋を睨む。
「いやいや、
それは摩子が勝手に作ったんですよ!」
首を振りながら後退りする守屋。
「本当か~?」
「本当です!」
「そっか~、なら良いや。
んじゃアタシも名刺をやらないとな。
大人は名刺交換するもんだし。」
と言いながら太刀川弁護士は、
鞄から名刺を取り出して摩子に渡す。
「ありがとーです!」
ニコニコしながらそれを受け取る摩子。
「荒北のおかげでもう一稼ぎ出来そうだ!
んじゃまたな~!」
片手を挙げ走り出す太刀川弁護士。
「センセ~!またね~!」
と言って手を振る摩子。
私も手を振り背中を見送った。
「しかし・・・、
どうするつもりなんだ奴は。
あの反省文で、
痴漢が狂言であった事を、
自らの手で証明してしまったのに・・・。」
守屋はそう言って考え込んでいる。
「まぁ、とりあえずは私達も帰りましょ。
ここで考えててもしょうが無いわ。」
先輩がそう言って歩き出したので、
私達もそれに付いて行く。
守屋がまだ考え込んでいるようなので、
「守屋~、
報酬貰うよりも、
偽造のコピー返して貰った方が、
良かったんじゃない?」
と、からかうつもりで言ってみた。
「ああっ!」
守屋は重大な事に気付いたように、
血相を変えて走り出した!
「あ~!
報酬分けなさ~い!」
先輩がその後を追い掛ける!
私達も慌てて追い掛ける!
守屋が太刀川弁護士に追い付くか!
私達が守屋に追い付くか!
私の迂闊な一言で、
思わぬ鬼ごっこがスタートした!
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