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「痴漢冤罪の被告人を救う?
・・・一体何なのそれ?」
先輩が守屋に聴く。
「ああ、太刀川に依頼されてな。
痴漢冤罪に苦しむ被告を救う為、
我々に協力を依頼してきた。」
「依頼されたの?
・・・詩夜璃、それホント?」
「依頼されたと言うか~、
ホントはその人の代わりに、
守屋を自首させるつもりだったみたいですよ。」
「えっ?そっちの方が面白そうね!」
「オイ!面白がるな!
絶対自首などせんからな!」
「あら、鏡司君・・・、何事も人生経験よ。」
「他人事だと思って簡単に言うな!
今から作戦内容を説明するぞ!」
と守屋が話を始めようとしたら、
カサカサ・・・、バリッ!
と音がした・・・。
ふと見ると摩子がお菓子の袋を開け、
テーブルの上のお皿に入れる。
カラカラカラ・・・。
かりんとうだった・・・。
「マー君、お茶~。」
摩子が言うと。
「あ、はい、今入れますね~。」
正人が台所に向かった。
むぅ・・・、
普通は逆なのに全く違和感無いな。
カリポリカリポリ・・・。
早速かじり出す摩子・・・。
「菓子とかお茶とか後にしろ!
説明出来んだろうが!」
「くぅいにすぅいなぁぅいでういいゆぉ~。」
「口に物を入れたまましゃべるな!」
守屋が即座に摩子のお行儀悪を注意する。
私もご相伴に預かる事にし、
かりんとうをつまんで口に入れる。
カリポリカリポリ・・・。
かりんとうなんて食べるの久しぶりだ。
カリッと心地よい歯応えと、
口に広がる黒糖の素朴な甘味・・・。
美味しい~!
・・・けれど、普段買って食べる事が少ない。
チョコレートやスナック菓子中心で買ってしまうので、
こういった和風駄菓子自体を買う事が少ないからだ。
もう一本つまんで口に入れた時。
「お茶入りましたよ~。」
と正人がお茶をお盆に乗せて登場。
お盆をテーブルに置いた。
皆がそれぞれお茶を取りズズーッと啜る。
「はぁ~っ、
やっぱりかりんとうにはお茶だよね~。」
摩子がしみじみと言う。
「くつろいでるとこスマンが・・・、
そろそろ作戦の説明を始めさせてもらうぞ。」
守屋が守屋らしくもなく遠慮して言った。
「どうやって冤罪だったと証明すんの?」
私の興味はその一点だ。
「ヤツらを罠にハメ、
痴漢が狂言であったと証言させる。」
「ヤツら?・・・って誰の事?」
「痴漢冤罪の被害者と目撃者だ!」
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