緊急幹部会議

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何も知らない土門は、 そう言いながら台所に行った。 「アドニス・・・、  佐和田が何故そんなに早く電車に乗るのか、  その理由を知っているか聴いてくれ。」 「はい・・・、聴いてみます。」 正人はそう答えて、スマホを操作しだした。 「鏡司、俺は何すりゃ良いんだ?」 買い物袋を台所に置いてきた、 土門が戻ってきて聴いた。 「龍成君は痴漢役よ。」 守屋が答える前に先輩が言った。 「はぁ?何だよそれ!俺ヤダぞ!」 土門が思いっきり不機嫌な顔をした。 「ウンディーネ!  それでは理解出来んだろ!  シヴァよ、痴漢になるかも知れん役だ。」 「鏡司、それも判んねえよ!」 この二人に説明させていてはラチが明かないので、 「私が説明するわ。  今回の作戦は痴漢冤罪詐欺に引っ掛かって、  裁判で有罪判決が出そうな沢渡さんを、  逆転無罪にする作戦なの。  その為には、  その痴漢事件が狂言だったと、  被害者と目撃者である女子高生に、  認めさせる必要が有るのよね。  そこでソイツらを罠に嵌めるの。」 「ふむ・・・、それで?」 「罠って言うのは、  ソイツらに痴漢詐欺をやらせるって事なの。  そこで囮として守屋と土門が佐和田を・・・、  佐和田って被害者役の女ね。  電車内で佐和田を挟んで並んで立って、  私達が後ろからその様子をビデオ撮影する。  佐和田がどちらかを、  痴漢として捕まえたらこっちのもの!  その撮影したビデオ映像を、  痴漢してなかった証拠とし、  逆に詐欺だと訴えるって訳なの。」 「なるほど~!それで痴漢役って事か!」 「そう言う事よ!  それで示談する条件として反省文を書かせるの、  今回の分と沢渡さんの分ね。」 「おう、理解したぜ!」 「鏡司さん、判りました!  アイミちゃん情報だと座席に座りたいから、  早く登校してるみたいですね。」 「軽倉君、アイミちゃんって誰?」 「あ、愛美ちゃんは僕の友達で、  佐和田さんのクラスメイトなんですよ。  今回の情報提供者ですね。」 「正人君、その子にこのネックレス渡して、  佐和田に自慢するように指示して貰える?」 先輩がそう言いながら、 今身に付けているネックレスを外して渡した。 「ランクは低いけど一応ゴブレーだし、  佐和田の物欲を刺激するのには使えるはずよ。」 おおっ! すごいな先輩・・・、 そんな手を使えるとは!
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