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「構わない。露店や屋台の主ひとりひとりには知らせるつもりのことだし、広まればよいと思って灯石類を持ち込むんだ。怖気付いてはいられない」
ユーイは気付いた。
それは、むしろ広めなければならないことだった。
「分かりました、進めてください。それこそ、国民の手の届かないような、頭の上で決めるわけにはいかないことですから」
ユラ-カグナは頷いて、では進める、と言った。
「それで、木工師と草木師の働き口だが、当面、アルシュファイドにある。前にも言ったが、こちらは人手不足だ。受け入れ体制については、明日、ジョージイが確認できるな」
ジョージイが頷いた。
「ああ。しっかり見てくるとしよう」
「さて、アルシュファイドとボルファルカルトル国の距離の問題だが…これは、ナイデア国に話を通すのが先だな。道の整備。これはこちらの方で行おう」
グレゴールが、ユラ-カグナの視線の先でしっかりと頷いた。
来週の朔の日には、シャスティマ連邦に話を通す。
それから、ボルファルカルトル国の南に位置する、シャスティマ連邦構成国のひとつ、ナイデア共和国と直接話をする。
「距離はどうにもできないが、できるだけ時間を縮められるようにする。そう伝えてくれ」
「分かりました…こちらは何もしなくていいのですか?」
ユーイの言葉に、ユラ-カグナは頷いた。
「今回の取り組みでは、輸出する側がそれぞれ経路を確保するとしよう。アルシュファイドでは、それに関わる支援をさせてもらう。カザフィス国には造船技術を提供し、ボルファルカルトル国には、今朝やったように、木を使って荷物を運ぶ方法を共同開発する。そのようにアークと約束したのだろう?」
ユーイは瞳を輝かせた。
「はい!」
「それに伴い、新たな草木師が必要となった。そのため、灯石類を運ぶ馬車を13人乗りにする。ユーイ、あとで案内させるから、馬車の大きさの確認をしてくれ」
「承知しました」
「その草木師には、レシェルス区に宿泊してもらう。あちらの方が、まだしもボルファルカルトル国に近い条件だろう。木から荷物を吊り下げることで、狭い道でも滞りなく進めるようにし、木の伐採なくカザフィスに続く道を得ようと思う。ちなみに、カザフィス国への道は、いくらか木に塞がれていたが、伐採までする必要はないだろう、というのが、確認した者の見解だ。戻ったら改めて確認してくれ」
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