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サリはそんなことを言おうとしていることが恥ずかしく、身を縮めた。
カィンは、サリの言わんとしていることを察し、そして恥ずかしがっている理由に思い至り、微笑んだ。
立ち止まって、同じく立ち止ったサリの頬に指先で触れる。
「うん。そうできたら嬉しい。きっと落ち着くよ。帰ったらやってみる」
サリはますます顔を赤くして、下を向いた。
カィンはその顔をよく見たかったが、無理に上げさせようとはせずに、何度目か、サリを促して歩き出した。
ユヅリ邸はすぐそこで、ふたりのこの短い恋草の道は、終着に至ろうとしていた。
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