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政王の予定
会議を終え、いつものように夕食を終えたアークたちは、談話室でまとまって座り、隣の者たちと会話を交わした。
「…明日もボナ川工場群に行くのですよね?布の工場でしたか」
ミナの言葉に、ジョージイは頷いた。
「コルナ編みを母に、サラディナの上掛けを兄夫婦に、探して贈るつもりだ」
「コルナ編み…初めて聞きます」
「美しい模様の編み物だった。アーク様に教えていただいたんだ」
ミナは頷いた。
「やっぱり特産品については、アーク様にお聞きするのが一番ですね」
ミナが笑顔でアークを見ると、アークは頬を染めて、視線を下に向けた。
「俺も時間があったらまた行きたいな!明日、行けるだろうか?」
ジエナが言い、ジョージイは首を傾けた。
「造船所の規模は凄いものだった。8時に出て、昼までかかった。そういえば昼食は一緒に摂るのだろうか?」
ジョージイの言葉が耳に入ったのか、ユーイと話していたグレゴールがジョージイを見た。
「昼食はボナ川工場群で落ち合って摂りましょう。そのように調整します。あと、明日の出発は8時にしましょう」
ジョージイとジエナは了承の返事をして、グレゴールは頷き、再びユーイに向き直った。
「ところで、ミナは休日は何をしているんだい」
ジエナに聞かれ、ミナは首を傾げて思い出す。
「さあ…色々です。お泊まり会をしたり、遊びに出たり、図書室で過ごすことが多いかな?最近は遠征が多くて、そう、いろんな街を見てきましたよ。楽しかったです…あ、そう言っちゃいけないかな」
ミナは困ったような笑みを見せた。
相手国には切羽詰まった状況で赴いていたので、あまり楽しんだとは言いにくい。
「いいじゃないかい、俺だって大いに楽しんできたよ!」
ジエナはやや楽しみ過ぎだったが、それを咎める者はこの場にはいなかった。
「遠征に行く前もあちこち行っていたから…私、観光が好きですね。ゆったり寛ぐのも好きなんですけど」
ジョージイが口を挟んだ。
「ボルファルカルトルは木ばかりだからな、観光には向かないな」
「そうなんですか?屋根の上の菜園とか見てみたいです。って、それは観光地じゃないか」
その言葉に、ジョージイは目を輝かせた。
自国にミナを案内できるような場所があるなら、ぜひ案内したいと思った。
「いや、興味を持ってくれるなら、ぜひ案内したい」
「ありがとうございます。機会があればいいですが…」
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