政王の予定

1/4
前へ
/266ページ
次へ

政王の予定

会議を終え、いつものように夕食を終えたアークたちは、談話室でまとまって座り、隣の者たちと会話を交わした。 「…明日もボナ川工場群に行くのですよね?布の工場でしたか」 ミナの言葉に、ジョージイは頷いた。 「コルナ編みを母に、サラディナの上掛けを兄夫婦に、探して贈るつもりだ」 「コルナ編み…初めて聞きます」 「美しい模様の編み物だった。アーク様に教えていただいたんだ」 ミナは頷いた。 「やっぱり特産品については、アーク様にお聞きするのが一番ですね」 ミナが笑顔でアークを見ると、アークは頬を染めて、視線を下に向けた。 「俺も時間があったらまた行きたいな!明日、行けるだろうか?」 ジエナが言い、ジョージイは首を傾けた。 「造船所の規模は凄いものだった。8時に出て、昼までかかった。そういえば昼食は一緒に摂るのだろうか?」 ジョージイの言葉が耳に入ったのか、ユーイと話していたグレゴールがジョージイを見た。 「昼食はボナ川工場群で落ち合って摂りましょう。そのように調整します。あと、明日の出発は8時にしましょう」 ジョージイとジエナは了承の返事をして、グレゴールは頷き、再びユーイに向き直った。 「ところで、ミナは休日は何をしているんだい」 ジエナに聞かれ、ミナは首を傾げて思い出す。 「さあ…色々です。お泊まり会をしたり、遊びに出たり、図書室で過ごすことが多いかな?最近は遠征が多くて、そう、いろんな街を見てきましたよ。楽しかったです…あ、そう言っちゃいけないかな」 ミナは困ったような笑みを見せた。 相手国には切羽詰まった状況で赴いていたので、あまり楽しんだとは言いにくい。 「いいじゃないかい、俺だって大いに楽しんできたよ!」 ジエナはやや楽しみ過ぎだったが、それを咎める者はこの場にはいなかった。 「遠征に行く前もあちこち行っていたから…私、観光が好きですね。ゆったり(くつろ)ぐのも好きなんですけど」 ジョージイが口を挟んだ。 「ボルファルカルトルは木ばかりだからな、観光には向かないな」 「そうなんですか?屋根の上の菜園とか見てみたいです。って、それは観光地じゃないか」 その言葉に、ジョージイは目を輝かせた。 自国にミナを案内できるような場所があるなら、ぜひ案内したいと思った。 「いや、興味を持ってくれるなら、ぜひ案内したい」 「ありがとうございます。機会があればいいですが…」
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加