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「おい松本、佐鳥はどうした?」
営業先から帰った木下は佐鳥のデスクが片付きパソコンが落ちている事に気付いて、いつも鞄をぶら下げているフックを覗いた
「さっき帰りましたよ」
「ふうん……珍しいな……」
「そうですね……」
木下から愚痴に近い話は聞いていたが、佐鳥と木下との間にある小さな不和がどんなものか…関係ないからこそよく見えていた
反発があるにしても木下は佐鳥が努力している事も分かっている
気不味くなったまま修復出来ないでいるだけなのだがどちらかといえば佐鳥が遠慮して距離が遠くなっている
浄水施設担当のチームは三人しかいないのだから何とかならないものかと思っていた
「佐鳥さんだってプラベートで用事だってあるでしょう、いつもいつも1人残って仕事をしてるんだからいいじゃないですか」
「そんな事はわかってるよ」
「いつも……一生懸命ですよね、あの人……」
「………………」
木下は何も答えなかったが、言えなくて困っている事を吐き出すような溜息をついて、佐鳥がやりかけていた施工地図の書き込みを拾い上げ、続きに手をつけた
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