3人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
魔王ミラの城―
勇者アルグは焦っていた。
彼が誰よりも大事にする約束に遅れる。勇者の仕事なんて、そのついでだ。ミラの命が今まさに失われようとしてる
この城で…
魔王の城に突入したアルグは、歴代のモンスターの指導者の立像が立ち並ぶ石畳を全力で駆け抜けた。
あそこにいる…。
アルグはそう確信した。
魔王軍と月光騎士団との激戦の数々でミラの情報提供で危機を乗り越えて多くの罪なき民の生命を救ったアルグはやがて勇者と呼ばれ始めた。ミラの心のうちに婚約者アルクの死が関係している。妖精と人間の架け橋となる為に人生を両種族の為に捧げたアルクはある日、何者かに暗殺された。
ミラにとって彼の死は信じがたい。
そうすればどうなるのか、あとから事情を旅の中で聞いたアルグは。
魔王ミラと呼ばれる彼女と戦地で対面するたびに伝え続けた。
勇者アルグ
「貴女の悲しみは利用されている。世界は貴女を生け贄に平和を望んで要る」
アルグは感謝していた。
ミラに。
大戦争と呼ばれる戦争が始まった時、勇者は避難民の一人として王都に入った。
家族の死を祈る為に入った大聖堂で聖剣の望みを聞いてからも同じだ。
アルグの旅を支えた聖剣に誓ったのだ。
挫けそうになるたびに何度でも。
聖なる剣に妖精の文字でメッセージが刻まれている。
『貴方の悲しみを終わらせる』
くしくもアルグはそれをみて戦いを終わらせる為に生きてきたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!